【練習・試合にて:その7】

 

18)やる気・元気・勇気!

 この表題の言葉は、筆者があるチームのコーチを辞めるときに子供たちに贈った言葉です。この言葉自体は、もともと友人から教わった言葉で、それをもとに筆者なりの解釈をしました。


 『やる気』とは『向上心』のことです。「もっと上手くなりたい」「もっと力をつけたい」など自らの成長を目指す気持ちがなくては上達への道は開けません。もちろん才能があふれる人には『向上心』など不必要なのかもしれません。しかし人間が成長していく上で、自らを磨こうという気持ちは大切なことだと筆者は考えています。簡単でないことが出来るようになるなんて、楽しいことではありませんか。遠かった目標に達することは気持ちのいいことではありませんか。『向上心』があって、達成感や満足感、生きている実感が生まれるように思えます。

 『やる気』は『動機』として考えることもできます。野球をする、野球をしたい理由は色々あると思いますが、根本的にやらされていては、動機に無理があります。やはり最も良い動機は『野球が好き』であることです。『好きこそものの上手なれ』というように、好きなら進んで練習や努力をします。イチロー選手が数々の記録を打ち立てられた理由はと聞かれ「野球が好きだから」とインタビューで答えていました。好きならば「野球がやりたい」「野球が上手くなりたい」という『やる気』が沸々とわき上がってくると思います。よく「やる気を出せ」と云いますが、『やる気がある』というのは見た目に “がむしゃらな” 感じがあったり、大きな声が出したりすることをいう場合もあります。しかし実際そうした『やる気』の表現方法は個人によって異なります。筆者がここでいう『やる気』は、表現されるものではなく心の中にあるものだとお考え下さい。誰よりも『やる気』をもって一生懸命やっているのに、それが人に伝わらない子だっているのです。


 『元気』とは『心と体が健康である』こと。別の言い方をすれば『コンディションが良い』ことです。くよくよ悩みを持たず野球を心から楽しむ、ケガや病気をせずに目一杯体を動かすこと…こうしたことができるとき『元気』が体全体に満ちあふれています。『元気』があれば、もっと野球を楽しむことができ、野球が上手くなることも、困難に立ち向かっていくことも可能です。もちろん人間が生きていく上で『元気』であることは、非常に大事なことです。

 『元気』にはもう一つ力があります。それは意図的に『元気を出す』ということです。これは自らの気を表に発するのです。大きな声を出し、声を掛け合い、下を向かずに、むしろ笑顔でプレーする…このように意識して『元気を出す』ことで、ネガティブな思考をポジティブに変え、自らの力を発揮できるようにセルフコントロールします。また周りに活力を与えることもできます。筆者の教えていた子供たちは、試合で得点をとられ形勢が不利になるとよく元気がなくなりました。監督をしていた当時「負けているときは、みんな元気がない。勝っている時はいつも元気な声で野球をしているじゃないか。元気のあるチームが勝つんだ。いい笑顔でいい声を出して、思い切り楽しもう。元気パワーで逆転するぞ」などと円陣を組んで声を掛けました。子供たちは、大きな声を出して逆転してやるという気持ちで一球一球に挑みました。結果は当然、逆転あり負けありですが、試合ではチームの力を出し切るためには『元気』が絶対に必要でした。


 『勇気』は『チャレンジ精神』のことです。弱気になっていては前進は期待できません。自らの壁を乗り越えていくためには、新しいことや、やったことがないことへのチャレンジが必要な時があります。チャレンジが突破口を切り開いてくれるかもしれないのです。そして、そのチャレンジへの一歩を踏み出すために『勇気』が必要な場合があります。未知のことへの挑戦は、怖かったり心配だったりするものですが、そんな時『勇気』が力となってくれます。つまり『勇気』は『やる気=向上心』とともに未来に向かって成長していくための大きな力といえます。


 子供たち自身がこの『やる気・元気・勇気』をもって、自らの道を進んで行って欲しいというのが筆者の願いです。そして、この3つの気を子供たちに芽生えさせ育むことが、筆者の指導方針でもあります。子供たちには、やりたい夢を持ち、健全な心と体を養い、チャレンジ精神で未来に向かって歩んでいって欲しいのです。この3つの気があれば、野球でなくとも人生において少々の困難も乗り越えられると信じています。生きる力を野球で学ぶことが出来れば、野球というスポーツにも大いに意義があるのではないでしょうか。

 筆者はこの言葉を記念写真の裏に書き、共に野球をしてきた子供たちに送りました。でも筆者の考える言葉の意味は説明していません。子供たちがこの言葉をどう理解するか、どう解釈するかは、彼らの自由です。いつか彼らが彼らなりの意味を探してしてくれればいいと思います。とはいえ、小学生の時に先生に送られた言葉なんて、筆者自身は何一つ覚えていませんが…(笑)。


※ちなみに辞書(抜粋)によると…

 ■やる‐き【遣る気】

 ・進んで物事をなしとげようとする気持ち。

 ■げん‐き【元気】

 ・心身の活動の源となる力。

 ・体の調子がよく、健康であること。また、そのさま。

 ・天地の間にあって、万物生成の根本となる精気。

 ■ゆう‐き【勇気】

 ・いさましい意気。困難や危険を恐れない心。

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