【チーム・他について:その1】

 

1)勝つチームの作り方

 少年野球において、試合の際に対戦相手を見て「ああこのチームは力があるな」「手強そうだな」「負けそう」などと感じることがあるはずです。そういう点を考慮していけば、いくつかの要素をそろえば試合に勝つチーム・強いチームを作ることも可能になります。

 チーム作りで重要なのは人選です。条件は①体が大きい②運動が得意③ハキハキしていること。クラスに必ず、体の大きな力持ち君やスポーツが得意な明るい人気者がいると思います。そういった子供たちをできるだけ多く選手にします。3つの条件がそろわない場合は、前述した条件の上位から順に人選すればよいでしょう。ただし肥満気味の子は運動ができるかが選定ポイントです。①の体が大きい子供は力が強いので、バッティングでも送球でもその力を活かすことが可能です。もちろん走力も歩幅が拾いので期待できます。②の運動が得意な子供は反射神経がよく、求められる動きに対してすばやく順応し体現できることが考えられます。③については、ハキハキしている子供とは自己アピールをよくするタイプを言います。反対に内面にこもった子供では、自己アピール、つまり良いプレーをしてやろうという意欲に欠けることが考えられるからです。勝負に対する意欲や向上心を前に出す積極性のある子供の方が、伸びる可能性や潜在能力を発揮しやすいと思われます。尚、全ての条件共に、野球に対する基本知識はあると考えます。つまり前述のような子供たちができるだけ数多く揃えば、試合に勝つ可能性が大きく向上します。後は、監督・コーチら指導者がどう教えるか、どう試合を運ぶかです。力のある良い選手がいて、基本練習をさせておけば確実に強いチームになるはずですが、指導者が基本練習すらを知らないようでは素晴らしい選手の力も殺してしまいます。

 他に考えられるのは、練習量の差、技術力の差、勝利への意欲の差、野球に対する知識の差などが試合の勝敗に関わってくることになるでしょう。もちろん試合はやってみなければわかりませんし、勝負故に大きな子供いるチームが必ず勝つとも限りません。しかし、おおかたは選手の人選8割・指導者の指導力2割程度でチーム力は決まってくると思われます。小学校6年生で身長180センチの子供が9人いるチームと、身長140センチの子供が9人いるチームでは力の差が歴然とあります。つまり勝つチームの条件を考えたとき、子供が持って生まれた条件=体格や神経回路、性格によって左右されることは明らかです。それならば、試合の結果に過剰に振り回されるのは虚しいと考えられませんか。『勝利第一』の考え方に立つならば、試合に勝つためには体の小さな選手より大きな選手が必要であり、運動が不得意な選手より俊敏な動きのできる選手を積極的に起用することになるでしょう。しかしチームには、大きい子や小さい子、動ける子や動きの鈍い子など、大抵色んなタイプの子供たちがいます。少年野球において勝つための野球を追求するれば、どういうことになるのかお分かりなるはずです。少年野球は、プロ野球の世界とは違います。指導者の皆さんには、子供たちが野球をする上で本当に学ぶべきことは何かを考えて欲しいと思います。勝つための野球なのか、それとも…?。

zhi_dao_lun11.html
前のページへzhi_dao_lun09.html
zhi_dao_lun09.html

2)女の子だって野球がしたい!

 女子の硬式野球チームや女子野球ワールドカップ大会、女子高校野球など、女性の野球での活躍も多く聞かれるようになりました。関西では女子プロ野球も誕生します。まだまだチーム数は少なく、男性に比べプレイする場も少ないようですが、野球を愛し楽しむ女性が確実にいます。筆者のいる地域の少年野球チームでも素晴らしいプレイをする女子選手を時々見かけます。オリンピックで優勝した女子ソフトボールでの身体能力の高さを見ても分かるように、もっと活躍の場が増えれば、男性顔負けのすごいプレイヤーがたくさん出てくると思います。

 筆者の教えていた少年野球チームにも数人ですが女子選手がいました。1年から6年まで合わせても多い時で3名程です。筆者が出会った小学生の女子選手の多くはマジメで、やる気をしっかり持って練習に取り組んでいました。コーチに云われたことをきちんと聞き、努力します。負けん気だって強い方です。また同学年の男子より体がしっかりしていて、力もあり、精神年齢も高いといえます。小学生の頃は女子の方が成長が早いと云われるのも納得できます。筆者は女の子達のポテンシャルの高さを感じ、小学生女子だけのチームを作って、男子チームと闘ってみたいなぁと少し夢を抱きました。

 さて、一人の女の子がお兄ちゃんがいる少年野球チームに入ることになりました。小学1年生で、そのチームでは久しぶりの女子であり、まさ紅一点です。監督は、彼女が女の子であることからチームマークの刺繍を特別にピンク色に発注、彼女にプレゼントしました。話を聞いた筆者はそれはおかしいことだと感じました。女の子に話を聞いてみると、彼女自身うれしくなかったようです。実は、彼女は他のチームメイトと同じユニホームスタイルで、みんなと仲間になりたかったのです。でも、監督の好意とはいえ、彼女は不本意な特別扱いを受けたことになりました。筆者も彼女と同じ意見です。チームは皆同じ仲間です。また、ルールでも皆同じデザインのユニフォームで試合をすることになっています。その後、結果的には、その女の子の大人的配慮により、彼女はピンクのマークをそのまま付けてみんなと野球を楽しんでいるそうです。

 ここからは筆者の女子選手に対する考えです。当たり前のことですが、女の子の選手を同じチームメイトである他の男の子の選手と差別してはいけません。練習内容、接し方など特別扱いする必要はありません。ただし、女子故に指導者として注意しなければならないことがあります。例えば、トイレについての配慮や、指導で体に触れる場合への配慮、女子が嫌悪感を感じる体勢の練習への配慮などなどです。一つ一つを具体的にあげるのはここではしませんが、こうした配慮は差別や特別扱いではありません。きちんと女子選手と向き合うためには必要なことだと筆者は考えています。また女の子がチーム内に一人しかいない場合は、彼女が仲間はずれにならないか注意しておく必要があります。いじめとかではなく、彼女次第で孤独になることがあります。孤立や自分にこもる状況は男子でもまれに起こりうることですが、チーム内に同姓がいないことは本人が理解できても、寂しいものだと思います。

 女子バレーボールの男性監督のインタビューなどを聞いていると、大人の女子選手をあずかる場合は、男である指導者・コーチは精神的にも肉体的にも男子選手とは違った配慮が必要になるようです。いつか、少年野球チームならぬ少女野球チームを率いる機会を得たならば、また新たなコーチング雑論が生まれそうな予感を感じつつ、夢見る筆者であります。

3)正しい応援の仕方

 試合が行われている球場やグラウンドに行くと、子供たちを応援する親御さんたちの様々な姿を見かけます。大きな声で声援する人、鳴り物を用意して応援団を結成している人たちもいます。中には、叫び声や悲鳴も聞こえ、最後は涙する人、頭から湯気の出ている人もいます。子供のことで必死になる思いは、筆者も親として多少は理解できます。多くの子供たちが言葉や態度に出さなくても、家族の応援をうれしく思っていると筆者は感じます。でも、過剰であってはよくありません。主役はあくまでも子供たちです。つまり子供たちを困らせる応援であってはいけません。

 筆者がチームを率いていて、困ったなぁと思う応援がいくつかありました。例えば、子供が恥ずかしくなったり、緊張するような声援です。大きな声で我が子の声を叫んだり、一球一球に叫び声を上げたり、「打てぇ~!」というのも思いは分かりますが子供の側は結構迷惑なもんです。もちろん、それがうれしい、力になるという子供もいることは否定しません。また、エラーや三振すると「何しとるんだ!」と応援席から怒った声が聞こえることもあります。「ああ~ぁ」と落胆する声も子供には辛いもんです。子供たちを盛り上げるはずの応援が、逆に気を落とさせている場合もあるのです。

 指導者が一番困るのは、子供たちに指示をする声援です。低学年の試合で、ノーアウト満塁2ストライクで打者が3ストライク目を空振りしたボールを捕手が落球した際、「振り逃げだ!走れ!」と応援席から声が飛び、慌てた走者が飛びだしてアウトになるということがしばしばあります。頭に血が上り、試合状況やルールを理解せずに指示をされると、ルールや判断に未熟な子供たちは混乱してしまいます。また、試合中に我が子を呼び出し、ベンチ裏でああしろこうしろと指示したり説教している親御さんもよく見かけますが、絶対にこういう指示行為はやってもらっては困ります。

 最悪な応援は罵声です。「やっつけてしまえ」「相手は弱いぞ」「バッターはビビってるぞ」といった相手をなめたりバカにする内容は筆者としては絶対に許せません。もちろんベンチの子供にも絶対に言わせません。声援で相手を愚弄することは卑劣な行為です。筆者が見たある試合では、応援席の親御さん達が審判の判定に不服言うといったものもありました。しかも脅すような言葉でです(時々、指導者にもいます)。それこそ、野球を通じて子供たちに何を学んで欲しいと思っているのでしょうか。

 では、正しい応援の仕方とは何でしょう?筆者は「カンバレ~」と拍手だけで良いと思います。たまに「頑張れ」がプレッシャーになってしまう子供もいますが、声援としては一番良い言葉と思います。あとは子供たちが一生懸命にプレーしたならば、素晴らしいプレーはもちろん、三振でも「よく振った」「ドンマイ」と大きな拍手をしてやって欲しいと思います。親御さんの「見守っているよ」というやさしい姿勢が、子供たちにとっては最もうれしい応援だと筆者は思います。

 指導者の方は、機会があれば親御さん達にこういう応援をお願いしますとお話しをしてみてはいかがですか。そういった機会は、指導者の意見を親御さんに理解してもらうことにもなりますし、良い応援はきっとチームの力になるはずです。

4)指導者からご家族へのお願い

 少年野球では、各チーム事情によって子供たちのご家族の方に運営のお手伝いなどの協力をお願いしています。例えば、『お茶当番』といった子供たちの試合や練習での世話や、試合に行くための移動を手伝う『車だし』などがあります。こういったチームへの協力ではなく、ここで筆者がお話ししたいのは、指導者としてご家族へのお願いです。

 まずは、自宅で心がけて欲しいこと。当たり前ですが、子供たちにきちんと食事を与えて下さいということです。食事内容は家庭によって様々でしょうが、食は体づくりに最大のポイントです。大切な点は栄養バランス。そして朝食をきちんと食べさせること。朝食を抜くことは、集中力が欠けケガの心配もあります。寝坊で食べられなかったではいけません。もちろんお弁当も不可欠です。夏場なら十分な水分補給を考えて、お茶などの飲み物を持たしてもらいます。そして食事と同じように大切なのが十分な睡眠。休養もまた体づくりには欠かせません。勉強やゲームなどやることはいっぱいありますが、できれば早寝早起きの生活のリズムを守ってほしいです。

 次に、子供たちが練習から帰宅したら、少しで良いので一日の感想を聞いてあげるようお願いします。自分から話す子供もいますが、何も言わない子もいます。短い時間でかまいません。練習や試合の話をし、褒めてあげたり応援してあげてほしいのです。これが意外と大切なことで、子供が野球に対してどう思っているのか、また親が野球に対してどう思っているのかを互いに知る大切な接点になると、筆者は考えています。そして、その日に聞くというのがポイントだと思います。

 監督・コーチや他の選手などの悪口をできる限り子供たちの前ではしないでもらいます。子供は正直ですから、監督・コーチと子供たちとの信頼関係が崩れたとき、良い結果は期待できません。監督・コーチに不満があれば直接言ってもらうか、一切言わないかです。チーム内に多かれ少なかれ不満は絶対に出てきます。そこは大人らしく考えて判断して欲しいのです。これはチームの言うことに一切口を出すなと言うことではなく、一緒になって子供たちのためにチームを盛り上げてほしいのです。

 一方、試合や練習でのお願いですが、監督・コーチの指導以外のことを教えないで欲しいということを理解してもらいます。これは子供たちが混乱する原因になります。また、自分の子がちょっと練習をさぼっているようだからと現場で怒ったりしないで欲しいのです。チームでの時間は、監督やコーチに子供たちを任せてもらいます。もちろん、練習のお手伝いをお願いすることがあれば、子供たちを見てもらうことはあると思いますが、とにかくできるだけチームの意向と一緒に動いて欲しいのです。

 少年野球チームは、学習塾ではありません。つまり結果や成績が全てではありません。託児所でもありません。つまり子供を預けるところではありません。もちろん学校でもありません。こういったことを理解していない親御さんが結構います。指導者は、子供たちのご家族と互いに良い関係を見いだしていくためにも、きちんとチームの意向をお話しし、ご理解とご協力をお願いすることが必要ではないかと思います。それは何よりも子供たちためであることを考えなければなりません。

次のページへzhi_dao_lun11.html