【子供の明日について:その1】

 

1)少年野球によって失う“時間”

 小学生の時期、少年野球に没頭できることは、ある意味素晴らしいことです。体を動かし、頭を使い、仲間を作り、スポーツの魅力を感じる。好きなことを見つけられたことは、生涯の中でも幸せなことかもしれません。しかし一方で、何かに集中し没頭することよって、得られなかったものもあるかもしれません。

 野球に没頭することで失うのものといえば、それは『時間』です。これはやむを得ないことですが、指導者や親御さんは頭の隅に置いておくべき事と筆者は思います。なぜなら小学生の頃は、人間の成長の礎となる大切な期間と考えられるからです。家族との絆、家族との思い出、基礎学力の習得、様々なものとの出会い等々…気づいたときには貴重な時間や機会が無かったということにならないようにしなければなりません。練習を2日程休んで、家族と旅行に行くことが悪いことでしょうか?野球であれ、学業であれ、冒険であれ、必ずしも時間をあることに費やしたからといって、何かを得られる訳ではありません。没頭できることは素晴らしいことですが、過剰であればマイナスも大きくなります。野球に没頭するあまり、他に目がいかない、他をないがしろにする…野球一筋、野球ばかりすることがカッコいいと勘違いをしてはいけません。注意すべきは、過剰、やり過ぎです。貴重な時間、人生の中で大切な『子供時代』をいかに有意義に過ごすべきか、親御さんはもちろん指導者も考えて欲しいと思います。

次のページへzhi_dao_lun13.html
zhi_dao_lun13.html
前のページへzhi_dao_lun11.html
zhi_dao_lun11.html

2)野球との幸福な出会いとは?

 野球をはじめるきっかけは人それぞれ。父親とのキャッチボールが楽しいから、友達と野球で遊んだから、プロ野球に魅せられて…。子供たちは様々なきっかけから野球を始め、やがて少年野球チームに入団して本格的にチームスポーツとして野球に触れていくというのが普通の流れでしょう。筆者がここで云う「野球との出会い」というのは、少年野球チームに入ったことについてです。

 子供たちは地域の事情等から、ある任意の少年野球チームに入るわけですが、そのことが子供自身とって幸福なことだったのか、それとも良くなかったことだったのか、結果的にどうなのかを考えてみました。例えば、好きではじめた野球なのに途中で嫌になり辞めてしまう子供がいます。もしその理由が所属した野球チームにあったならば、そのチームとの出会いは野球をしたかった子供にとって幸福なものではなかったのかもしれません。しかし、野球を辞めたことで「本当にやりたいものはコレではなかった」と新たなものを見つけるきっかけを作ったといえるかもしれません。もし他のチームに入っていたならば、子供がもっと野球に夢中になっていたかもしれません。実力のある強いチームに入ってずっとレギュラーになれず試合にも出してもらえず過ごすのがよいのか、チームがぎりぎりの人数のためいつも試合に出してもらえて野球をそこそこ楽しめるほうがよいのでしょうか。指導者に個性があるように、子供たちにも個性があります。それ故に互いに選り好みも発生し「あの選手は俺好みでないから使えない」といったことが実際に起こっています。はたまた、厳しい指導のあまりケガをしてしまい、スポーツを出来ない体になってしまうことも…どうなってしまうかは考えればきりがありません。

 それでは、指導者として考えることは何かないでしょうか。野球と出会うことで、また自ら指導するチームに入ってもらうことで、子供たちに何を伝えるべきなのか。筆者自身は、野球を通じて、それぞれの子供が人として何か学んで欲しいと願うのです。何か学ぶことが出来たならば、それは幸福かどうかの判断は別として、野球との出会いが価値あるものになるのではないでしょうか。学ぶものとは、例えば達成感や根気、社交性、または肉体的なものも含めて様々なものがあります。

 指導者の皆さんは、自分のチームは良いチームもしくは子供のために良いことを目指しているチームだと思っておられると思いますが、今一度、それぞれの子供たちのことを考えた指導を行っているのか思いを馳せてみてください。(文章がまとまらなくてすいません…筆者反省)

3)怪我は子供の夢を奪う

 怪我は普段の生活はもちろん、スポーツでも起こりうることです。野球における怪我、いわゆるスポーツ障害を2種類に分けて考えると、『外傷』と『障害』があります。

 『外傷』とは、転倒や衝突など一度の外力で生じるもので、主に突発性のものです。骨折、捻挫、脱臼、裂傷など事故ともいえるものが様々あります。事故の多くは突発性のため避けられないことも多いですが、予防となる防止策が考えられるものもあります。例えば素振りをするときは、周りによく注意し、隣と距離をとり、ヘルメットをかぶるなどのバットによる怪我防止策が思いつきます。治療に関しては、損傷部位を正確に現状復帰することです。

 『障害』とは、小さな外力が筋肉や骨・腱などに繰り返しかかる事で起こり、肉体へのストレスの蓄積の結果といえるものです。例えば、肘や肩を痛める投球障害・疲労骨折・ジャンパー膝・アキレス腱炎などがあります。原因は『やりすぎ』もしくは『やり方が悪い』ことによるもので、運動による負荷と肉体の強さのアンバランスが生み出す結果といえます。考えようによっては『避けられる怪我』ともいえます。子供たちには個人差があり、体格差はもちろん体力差があります。しかし、差のある子供たちが体力のある子供と同じ負荷の運動をすれば、故障を起こす可能性があります。つまり『やりすぎ』です。例えば投球数が非常に多いことも『やりすぎ』です。『やり方が悪い』というのは、投球などのフォームが悪い、アップが不十分、休養がないなどがあげられます。『障害』の治療としては、運動中止を含めた負担の軽減および休養、柔らかい筋肉を作るためのストレッチ、筋肉強化、フォームの矯正などが考えられます。特に成長期の子供たちは、発育段階の個人差が顕著なことや、軟骨など発育途中で弱い部位があるため、特に障害には注意が必要です。しかし一方で、成長期ならば早期に対応すれば怪我が治る可能性も非常に高いといえます。こういったことから障害に対する指導者の配慮が重要であり、その配慮によって障害を避けることもできるのです。

 『外傷』の放置や『障害』は過度に至ると、野球どころかスポーツまでも出来なくなってしまいます。さらにひどい場合は、日常生活にも支障をきたす恐れもあります。大好きな野球が出来なることは、挫折感となって子供の心に傷を残すことも考えられます。夢をあきらめることを覚えた心は弱くなります。個人的にはもちろんそこからはい上がっていく強い心を養わなくてはいけません。たとえ『障害』による挫折がその子供の運命だとしても、『避けられる怪我』ならば避けられるよう指導者は心しておかなければなりません。怪我をさせない、障害を残さない、そして子供の心を怪我から助けてやる。これも指導者の大事な使命、責任ではないでしょうか。

4)進路を考える

 小学生時代に少年野球チームに所属した子供たちは、小学校の卒業を機に退団(卒団)し、中学生として新たなスタートを切ります。野球を続ける子もいれば、そうでない子もいます。中学生になって野球をする場合、選択肢は①中学校内のクラブに入部する②私設の中学硬式野球チームに入る、以上の2つです。

 中学校のクラブでは、主に軟式(B号球)を使用します。一部には準硬式(H号球:硬式球とほぼ同じ中身で、外側の表面が軟式球と同じ天然ゴムでできている)を使用している中学(大阪の100校程)もあります。

 中学硬式野球は、全国に様々なリーグがあり、各リーグに所属する私設チーム(クラブチーム)が数多くあります。リーグは、リトルシニア・ボーイズ・ヤング・ポニー・サンなどがあります。もちろんボールは公式球(大人と同じ)を使用します。もし中学硬式をやりたいのなら、その地域で運営しているチームを探す必要があります。

 野球の指導をしていると、時々親御さんから「中学で野球をやりたいけど、軟式か硬式どちらがいいでしょう?」「硬式をやるなら、どこのチームがいいですか?」などと相談されることがあります。そのためにも、指導者は地域の情報を少しは知っておいた方が良いでしょう。指導を長くやっていれば、それなり情報網も出来るはずです。積極的に情報収集をすれば、軟式や硬式のチーム情報も入るはずです。そして、時間があれば自分の目で確かめることをオススメします。他のチームの練習を見ることは勉強にもなります。できれば、その上で親御さんにいくつかのチームを紹介し、実際に見に行っていただき、親御さんと子供自身の目で確かめ、そのチームから直接いろんな話を聞いて、結論を出すことがベストです。指導者が「ここに行きなさい」と云うものではないと思います。

 「野球をするのに硬式と軟式のどちらがいいか?」ということに関しては、筆者自身はどちらでも良いと思います。子供本人がより野球をやりやすい(やりたくなる)環境ならば良いと思います。ただし傾向としては、軟式は中学校のクラブでその地域の子供たちが集まるため、少年野球の延長とも言えます。しかし、硬式は子供たちが通う範囲がやや広くなり、地域外の子供たちも参加してきます。また硬式をしたい子供は親御さんも含めて、やる気をかなりもって入ってきます。つまり自己主張が強いとも言えますし、甲子園を目指すなど高い目標を持った子供が多いようです。費用に関しても中学校のクラブとは桁が違います。道具も硬式の方が高くなります。親御さんのチームへの協力なども多くなります。筆者の考えとしては、子供にとっても親御さんにとっても、できるだけ途中で辞めない続けられる環境が大切だと思います。そのためには軟式か硬式かは関係ありません。

 子供たちが成長していけば、さらに高校野球、大学野球、社会人野球、社会人クラブチーム、日本プロ野球(独立リーグを含む)、さらには米大リーグ等々、進む道は様々です。高校野球などは全国範囲で選択肢が広がり、受験や推薦枠などもあり、より煩雑な要素も増えてくるので決断することは大変になってきます。そして、野球で進む道は成長するにつれ、どんどん狭くなっていきます(ただし草野球で楽しむのなら数多くのチームがあります)。とにかく、どこで野球をするのか重要なのは野球をする本人の気持ちです。指導者としては、中学進学の際だけでも、少し相談に乗ってあげることができれば、役目を果たせるような気がします。